対策についてはこちら
「院内感染」をご存知ですか?
歯科医院だけでなく、内科、耳鼻咽喉科など、様々な病院で「粘膜」に触れる器具には「感染症」のリスクが潜んでいます。
感染症は、身近な例では風邪、重篤な病気ではC型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、結核菌などの様々な重篤な病気があります。
そのため、器具は「確実に消毒・滅菌されたもの」を使う必要があります。
ハービー歯科・小児矯正歯科で基本としている
「スタンダードプリコーション」
当院では、日本の医療業界ではまだ浸透していない、EU諸国・欧米の基準である「スタンダードプリコーション」を取り入れています。
これは徹底した感染・衛生管理を行う基準で、院内感染対策に大変有効なものです。
このページは、ハービー歯科・小児矯正歯科が実際に行っている消毒・滅菌方法について皆様に知っていただくことで、安心して治療を受けていただきたいという思いを込めています。
スタンダードプリコーション
(標準予防策)とは
すべての人が感染していることを前提に
感染・衛生管理をすることです
スタンダードプリコーション(標準感染予防策)とは、感染の有無にかかわらず、汗を除くすべての湿性生体物質(血液・体液・分泌物・排泄物・傷のある皮膚、粘膜)には感染リスクがあるとみなし行う感染予防策のことです。こう言ってしまうと、とても難しく聞こえてしまいますね。
簡単に言うと...
すべての人が感染している可能性があると思って、きちんと感染・衛生管理をしよう
ということです。
ウイルス・細菌は目に見えません。
したがって、どの人が「感染している」「感染していない」ということは誰にも分からないのです。
スタンダードプリコーションにおいて重要なのは、「感染している人」「感染していない人」を区別するのではなく、「すべての人が感染している可能性がある」ということを大前提にして、いかなる場合でも安全に器具を使えるように、あらかじめ感染・衛生管理を行おうということなのです。
スタンダードプリコーションを
実践するために
院内を不潔域・清潔域に分けることで、消毒・滅菌の過程で器具が感染する可能性をなくします。
ミーレ洗浄機を導入することで器具に触れない環境を作り、ヒューマンエラーを防ぎます。
消毒・滅菌レベルに差が出ることを避けるために、一定基準で消毒・滅菌を行うことのできるミーレ洗浄機を導入しています。
手洗い洗浄を避けることでヒューマンエラーを防ぎ、それが院内感染を予防することに繋がります。
スタッフ自身が「器具に直接触れない」ことも大切なのです。
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point3
器具の種類に応じて
消毒・滅菌方法について知る >
最適な消毒・滅菌を行います。 -
point4
手袋・エプロン・紙コップなどは、
使い捨て(ディスポーザブル)について知る >
使い捨ていたします。
当院で行っている消毒・滅菌の
流れについて
消毒・滅菌方法について
STEP1洗浄
最初が肝心!ミーレ洗浄機を使った洗浄スタンダードプリコーションを行うための最初の工程は「洗浄」です。
きちんと洗浄することが感染・衛生管理を行う第一歩となります。
きちんとした洗浄を行わずに次の行程に入ってしまうと、ウイルス・細菌が残ってしまい、繁殖へと繋がってしまうので、最初の工程とはいえ重要な役割を担うのです。
そこで力を発揮するのが「ミーレ洗浄機(ミーレジェットウォッシャー・ドライプラス)」という機械です。
このミーレ洗浄機は毎分400リットルの強力なジェット水流によって、器具の表面についている菌を洗い落とします。ミーレ洗浄機の最大の特徴は、複雑な器具の内部すみずみまで洗浄ができることです。
ミーレ洗浄機であれば、自動で温度の調節をしながら「予備洗浄」「すすぎ(1回目)」「すすぎ(2回目)」と全部で3回洗浄を行うので、きちんと表面の菌を洗浄することができ、安心して次の工程へと進めます。
STEP2消毒
とても重要!!「高温洗浄」による消毒洗浄で表面の菌を落とした後は、次の工程に入ります。
ウイルス・細菌の中には、低い温度の中では生き残ってしまう菌がいます。
これらのウイルス・細菌を少しでも残してしまうと、ものすごい数のウイルス・細菌へと増殖してしまう恐れがあるので何とかして除菌をしないといけません。
そこで役に立つのが先ほど「洗浄」でも利用した「ミーレ洗浄機」です。
ミーレ洗浄機では、低温で洗浄を行った後に、今度は93℃の高温で洗浄・消毒を行います。
菌の中には70℃~85℃近くまで生き残れる菌がいますが、93℃の高温で洗浄することにより、熱に強い菌もきちんと死滅させ消毒をすることができるのです。
この「高温洗浄(高水準消毒)」という工程はとても重要で、この工程なしには安全な感染・衛生管理はできません。
※B型肝炎・C型肝炎のウイルスは、90℃以上の熱水消毒でようやく死滅させることができます。
STEP3乾燥
意外と見落としがち!「乾燥」器具の衛生管理の話をするときに「洗浄が大事」「消毒が大事」「滅菌が大事」とおしゃっている医院さんも多くいらっしゃいますが、意外と見落としがちの工程がこの「乾燥」という工程です。この乾燥という工程を怠ってしまうと、これ以前に行った「洗浄」「消毒」という工程が全て無駄になってしまう恐れがあります。
なぜかと言いますと、菌は湿った場所が大好きなのです。
きちんと洗浄して・消毒しても、乾燥をせずに水滴がある状態のものをそのままにしていたらそこから菌があっという間に繁殖してしまいます。
つまり、しっかり乾燥させないと、次の滅菌の工程が失敗してしまう可能性がございます。
ここで活躍するのがまたしても「ミーレ医療用高温洗浄機」なのです。
ミーレ洗浄機には、ジェット水流よる洗浄や、高温洗浄による消毒だけでなく、ドライプラスというスチームコンデンサーによる乾燥機能と、ドライヤー機能を組み合わせた乾燥機能が備わっており、水滴を残さずにきちんと器具を乾燥することが可能なのです。ここできちんと乾燥を行うことにより、水滴などによる菌の繁殖を防ぐことが出来ます。
ミーレ洗浄機の中でも様々な種類がございますが、当院では「洗浄」「消毒」「乾燥」を1台で行える優れたものを導入しています。
STEP4滅菌
世界最高水準の滅菌器「クラスB」でトドメの滅菌処理!感染・衛生管理における最後の工程が「滅菌」です。
ここまで「洗浄」から「乾燥」まであらゆる工程を踏んできましたが、最後にトドメの「滅菌」という工程があります。
滅菌には「滅菌器」というものを利用するのですが、歯科治療で使用する器具にはさまざまな形状のものや種類があり、それによって使用できる滅菌器の種類や、滅菌できるレベルが異なってきます。
当院では、全ての種類の滅菌器を取り扱っておりますが、その中でも重宝している滅菌器が「クラスB オートクレーブ リサ」という滅菌器です。
この滅菌器は、130℃の高温を出すことができ、あらゆる種類の器具やその形状のものであっても、最高レベルで滅菌処理を行える優れものなのです。
最後の工程で、この世界最高水準の滅菌器「クラスB」を利用することにより、確実に滅菌処理を行うことが出来るのです。
- 【クラスB】
ヨーロッパ最高基準の規格に準拠した滅菌ができるものです。高温・高圧の蒸気を一定して送り続けることができ、どのような複雑な治療器具でも滅菌パックに入れて滅菌することが可能です。
- 【クラスS】
クラスNで滅菌可能な器具に加えて、滅菌器のメーカーが指定した特定の器具に使用することができます。
- 【クラスN】
包装されていない器具の滅菌のみに使用することができます。鏡や単純な器具の滅菌が可能です。しかし、複雑な構造をしている治療器具は完全に滅菌することができません。
- 滅菌パックの役割を知っていますか?
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- 乾燥した状態での器具の保管
- 滅菌処理を細部にまで行き渡らせる
滅菌パックに入れて滅菌処理を行うことで、機械の中で、滅菌パックが膨らんだりしぼんだりします。その過程で、器具の隅々まで滅菌処理を行き渡らせることができるのです。
クラスB滅菌器でのみ、滅菌パックに入れた状態で処理を行うことができます。そのため、クラスB滅菌器と滅菌パックは、2つ一緒に使わなければ意味がございません。
きちんと滅菌処理させた器具は、滅菌パックの封が閉じた状態で保管されていることが基本です。
全ての工程を妥協なくしっかりと行うことで、ようやく皆さんに安心して治療を受けていただく環境が整うと考えております。
そして、この全ての工程を当たり前に行うことが、「スタンダードプリコーション」を実施することにつながると考え、私たちは日々の感染・衛生管理に努めております。
器具の使い捨て(ディスポーザブル)
について
お一人お一人に
ディスポーザブル(使い捨て)の
治療セットを
ご用意しています
器具の滅菌はとてもコストがかかります。そのため、滅菌を徹底していない歯科医院が多いという報道も度々目にすることがあります。しかし、歯科治療時に感染し、別の疾患を引き起こすということは医療機関としてあってはならないことです。ハービー歯科・小児矯正歯科では、消毒・滅菌が不向きなコップやエプロン、グローブに関してはディスポーザブル(使い捨て)製品を使用し、常に新品のものをご利用いただいております。
Q&A
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Q1
なぜ、医療用高温洗浄機(ミーレジェットウォッシャー)が有効なのですか?
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A
大きな理由は3つあります。 1つめは、洗浄→消毒→乾燥という過程でのヒューマンエラーをなくすためです。
つまり、消毒する相手が目に見えない細菌やウイルスなので、人間がこの過程を正確に行うことは困難だということです。
この過程を人が行うと、患者さんにリリースされる歯科器具の消毒・滅菌レベルにバラツキがでます。
これは、患者さんやスタッフの院内感染防止の観点からも避けたいことです。
そして、2つ目は、高水準消毒を水で行うことが出来るということです。
同じような高水準消毒を薬液消毒に望むとグルタラールやフタラールや過酢酸という危険な薬品の使用になるので、使用するスタッフにもかなり有害となります。
それを避けることが可能となります。
そして、3つ目は、従来の洗浄になると超音波洗浄や手洗いによる器具洗浄となります。感染した器具の手洗いの洗浄は、スタッフが刺し傷など怪我をする可能性があります。
なので、手洗い洗浄を避けることが出来る高水準消毒が可能な医療用高温洗浄器がスタッフの院内感染を予防するためにも有効です。 つまり、「感染された(患者さんに使用後の)器具には直接触れない」ことが重要ということです。
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Q1
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Q2
あらゆる器具は滅菌処理されたものでなくては危険ですか?
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A
何でもかんでも滅菌したら安全かという問題ではありません。
使用する器具の目的に合わせて滅菌(歯科器具上の芽胞を含むすべての微生物を死滅あるいは除去)か、消毒(歯科器具上の病原性微生物を死滅あるいは除去)かに分類して、菌を除去していきます。
例えば、レストランで自分が使用するスプーンやフォークが滅菌されているかどうか気にする人はいますか?
滅菌パックに入ってきたスプーンやフォークで食事をしたことはないと思います。
私は、ミーレを導入してからというもの、気になってしょうがないのですが(笑)。
つまり、口の中に入るものでも洗浄と消毒したスプーンやフォークに付着する菌は許容範囲内なのです。
なので、過剰な消毒・滅菌は、歯科器具への負担増加やスタッフさんの仕事増加など、悪いことばかりで良いことが少ないということです。
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Q2
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Q3
加熱すれば滅菌はできますか?
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A
とにかく加熱すれば滅菌できる!と思われている方が多いのですが、そんな事はありません。
そのため、乾熱滅菌(170~180℃で長時間行う滅菌)が現在、ほとんど使用されてないのが現状です。
現在では、90℃以上の高温水で除菌できる医療用洗浄器や加圧して真空下で蒸気を用いるオートクレーブ(滅菌器)のような「湿熱滅菌」が使用されています。
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Q3
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Q4
紫外線ボックスに入っていれば、消毒・滅菌されていますか?
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A
紫外線の当たらない部分には滅菌効果がなく、浸透性も少ないので滅菌効果は十分とはいえません。ただし、保管場所としては好ましいと言えます。
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Q4
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Q5
感染の疑いがある患者さんなどによって使用する器具を変えていますか?
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A
変更していません。
当院では、スタンダードプリコーションを実践しているため、器具を患者さんごとに使い分けることには意味がないと考えています。
なぜなら、ウイルスは目に見えないため、患者さん本人でさえ感染しているかどうか分からないからです。
そのため、すべての人が感染しているという前提で使用したすべての器具を消毒・滅菌しています。
その時に医療用高温洗浄器(ミーレジェットウォッシャー)が活躍します。
また、ディスポーザブル(使い捨て)も併用して患者さんごとに器具の交換につとめています。
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Q5
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Q6
器具の消毒には、薬液消毒を使っていますか?
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A
取り扱いが大変な薬液の代わりに、医療用高温洗浄機(ミーレジェットウォッシャー)を使用しています。
薬液消毒は、3つに分類(高水準消毒、中水準消毒、低水準消毒)されています。
細菌やウイルスを死滅させる能力が高いほど、消毒液としては優れていることになりますが、その分取り扱いが難しくなります。
取り扱いを間違うと人体にも害が出てしまうため、消毒を担当するスタッフが危険にさらされてしまいます。
つまり、薬液消毒は諸刃の剣なのです。
私は、薬液消毒は、薬品を扱うための教育をしっかりと受けた人が使用すべきだと考えています。
更に、薬品の知識のある方であれば、危険な高水準消毒液(グルタラール、フタラール、過酢酸)は、本当に必要な時以外は使用したくないですよね。
そこで、当院が導入した機器が医療用高温洗浄機です。
この機器は、水だけで高水準消毒が可能な非常に優れたものなのです。
ただし、非常にコストがかかることや、不潔域と清潔域を区別するためのスペースを確保する必要があるため、日本の歯科医院にはほとんど普及していません。
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Q6
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Q7
診療に使用した全ての器具を消毒・滅菌して再利用するのですか?
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A
使用する器具の目的に合わせて滅菌(歯科器具上の芽胞を含むすべての微生物を死滅あるいは除去)か、消毒(歯科器具上の病原性微生物を死滅あるいは除去)かに分類して菌を除去し再利用していきます。
しかし、ディスポーザブル(使い捨て)可能な歯科器具は、使い捨てしています。
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Q7
院内の空気も清潔に
当院に通われる全ての患者さんが安心・安全に通っていただけるように、これからも努力していきます。
院長からのメッセージ
感染・衛生管理の大原則は
スタンダードプリコーション(標準予防)
現在の日本における消毒・滅菌の方法は徐々にEUや欧米諸国のやり方が浸透しつつあるも、まだまだ徹底できていない歯科医院が多いのも事実です。当院では、スタンダードプリコーションの理念のもと、感染の有無にかかわらず直接触れた器具は危険とみなし、きちんとした洗浄・消毒・乾燥・滅菌というの流れを行うようにしております。このような消毒・滅菌方法が当院だけでなく、日本の消毒・滅菌システムの基準の基本として広まることを祈っております。滅菌・消毒を含む衛生管理について少しでも不安をお持ちの方、疑問があるかたはハービー歯科・小児矯正歯科までお気軽にご相談ください。
ハービー歯科・小児矯正歯科 院長:小川 慶知
新型コロナウィルス対策について
当院では通常の消毒・滅菌に加え、新型コロナウィルス対策として以下のことに取り組んでおります。
(※基本的に常時行っている取り組みですが、患者様にご安心いただくため記載させていただきます。)